小学生(児童期)のレッスン
小学生に上がる頃には、ピアノも上達していることでしょう。しかし、学校の宿題や他の習い事でも忙しくなってきますので、ついついピアノは後回しになってしまうこともあると思います。お家では、「練習しなさい!」「しないならやめなさい」などの言葉が出ていたりするかもしれません。それとも、完全に本人の自主性に任せてしまうかもしれません。
どのようにして、子供のやる気を起こさせるか、これは保護者にとっても指導者にとっても大きな課題ではないでしょうか。
ドイツの研究者D・Cマクレランドは、日本の親子の「達成動機」の関係について調べました。「達成動機」とは、困難なことをやり遂げる、目標を達成しようとする原動力のことを言います。すると、母親の意欲が高すぎても、低すぎても、子供の意欲を低下させることがわかりました。つまり、子供の意欲を引き出すには、適度な働き掛けと、ゆとりを持って見守っていく姿勢が大切だといえます。また、子供の行動に対して、きちんと反応することも大切です。自分の行動を褒められると、子供は手応えを感じて、より意欲的に行動するようになるそうです。
意欲が続くのは内発的動機づけ
ある行動を起こそうとしたり、持続させようとしたりする理由を「動機」といい、その過程を「動機付け」といいます。例えば、「テストで100点を取ったら好きなものを買ってあげる」と言われて、子供が一生懸命勉強するのは、外から与えられる「外発動機づけ」といいます。一方、自分から「知りたい、理解したい」という知的好奇心から湧きおこるものは、「内的動機づけ」といいます。内的動機づけの方が、意欲的に持続的に取り組めることが多くの実験で確かめられています。
自分で動機を強めるには、次のような流れが理想です。
ピアノを弾いて褒められる
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嬉しくて繰り返し弾くようになる
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体験を繰り返すことで、ほめられなくても弾くようになる(内発的動機づけ)
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目標を持って取り組むようになる
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目標を達成できたことで自分をほめる
(自己強化=自分で自分をほめることで動機づけを強化すること)
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さらに積極的にピアノを弾くようになる
私のお教室では、外発動機づけでピアノを習慣化させながら、内発的動機づけに導くように指導しています。具体的には、練習できた日には、レッスン表に自宅でシールを貼っもらいます。表が全部埋まったら、音符の書いてある鉛筆などをプレゼントします。例えば、みなさん食べた後、毎日歯磨きしますよね?当たり前のように習慣づいていますが、小さい頃は、親御さんが何とか歯磨きしたはずです。ピアノの練習も、歯磨きくらい習慣化するといいですね。1日10回弾くだけでも、ピアノを触ることが習慣づけば、着々と進歩するでしょう。小学生低学年では、まだ保護者のお声がけがほしいところです。何よりも長い目で見て、続けることに意味があるので、「お母さんにピアノ聞かせて♪」と、上手に促して頂きたいです。保護者のお家での悩みもその都度担当の先生と話して頂いて、保護者の方と一緒に取り組むのが当教室のスタイルです。応援してくれる大人が多いほど、子供も頑張れますね。そのうち、ピアノを弾くことが習慣になってくるはずです。私も、小学生の頃には、練習しない日は何となく一日が終われないような気持ちになったものです。
小学生中学年にもなってくると、和声や楽式歴史的背景の話などしても理解できるようになってきます。指導者としても嬉しい限りです。なかなか受験生は中学生まで続けるのも難しいですが、続けて来た子は、大曲に挑戦し、「ピアノを辞めないでよかった。続けてきてよかった。」という言葉を頂いています。
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