ピアノ奏法とリトミック

 リトミックとは、上のページで、「人間の持つ本能的なリズムとの間の関係を確立すること」をねらいとしていることを説明しました。また、具体的な指導法としては、音楽を体感するために、私の歌に合わせてマットの上でリズム体操をしたり、ボールの受け渡しをしたりします。また、リズム体操は、リズムは健康上の、そして知的あるいは芸術的な体操になくてはならないもので、ボールを渡す動作は、渡す時の距離間によってダイナミクスと空間の関係を感じとることができると述べたように、音楽的感性を養っていくことにも深く関連しています。

 

私は、リトミック指導をしていく中で、この音楽的感性(拍子感やリズム感)、加えて芸術的感性(視覚を用いた想像性を刺激するもの⦅詩の内容にあった絵だったり、詩の内容を経験するような演出⦆)を育てながら、さらにピアノを弾く時の体の使い方を取り入れた動きをリトミック指導に入れたいと考えるようになりました。

 

例えば、西洋音楽が入ってきたころの初期のピアノの先生は、指の力で鍵盤をたたき大きな音を出す『ハイフィンガー法』を用いていた方が多かったようです。この弾き方は、昔の鍵盤が軽かったピアノの時代のものでした。現代のピアノの鍵盤は重くて、指の力だけで弾くことは難しくなっています。そこで、現代では『重量奏法』と呼ばれる方法が導入されました。体や腕の重量をかけることによってピアノを弾きます。ピアノに重さをかける時の腕を降ろす行為、その動きに連動して腕を上にあげる行為、または戻す行為を脱力と言います。力(重さ)を加えてエネルギーを与え、そのエネルギーを解放すること(脱力)、この繰り返しでピアノを弾きます。

もちろん、指を鍛えることも大事です。また、一人一人体の作りが違うのですから、最終的にはその子に合ったテクニックを身に付けていくことがベストだと言えるでしょう。

 

ピアノ指導に入った時、幼児がピアノの前に座って指を一本一本しっかり動かす行為自体が難しく、この脱力する行為を習得するには、やはり時間がかかります。そこで、考えたのがピアノ奏法における体の使い方を先にリトミックで体験することです。また、様々な音色を作るアーティキレーションんのピアノ奏法を、リトミックの遊びと関連づけていきます。注目レッスンでその都度、UPしていきたいと思っています。ぜひご参照ください。