リトミックについて

さまざまな楽器に触れましょう♪
さまざまな楽器に触れましょう♪

「リトミック」とは?スイスの作曲家エミール・ジャック・ダルクローズによって提唱された、「自己表現の教育」です。教育の目的は、子供達が「私は知っている」と言うのではなく、「私は経験した」と言えるようにすることだといっています。知識として「知っていること」と体を使って実体験したことでは、物事に対する理解の深さが違ってきます。そのためには、実際の音楽を聴きながら、その拍感やリズム感、速さや大小に至るまで体を使って体感することが大切です。

 子供達がリズムを表現するとき、彼らのからだ全体、頭のてっぺんから足の先までが頭脳です。幼児は見るもの、聞くもの、触れるもの、考えていることを体を使って表現します。幼児の心と体はいつも一緒に発達しています。体験して獲得したものの概念は、精神を形成していきます。音楽では、「楽しい、寂しい、悲しい、きれい、驚ろいた、怖い」など、あらゆる人間感情を表現しています。幼児は、音楽と感情を繋ぎ合わせて、様々な経験をしていくのです。

 具体的に、音楽を体感するために、私の歌に合わせてマットの上でリズム体操をしたり、ボールの受け渡しをしたりします。リズム体操は、人間の持つ本能的なリズムとの間の関係を確立することをねらいとします。リズムは健康上の、そして知的あるいは芸術的な体操になくてはならないものです。ボールを渡す動作は、渡す時の距離間によってダイナミクスと空間の関係を感じとることができます。

 

 その他、様々な楽器で音を出す楽しさを体験します。それらを使って音楽に合わせて拍子を打つことをします。音楽の流れに合わせて楽器を打つことは、初めてのお子さんにはなかなか難しい行為です。ですが、毎回続けていくと、だんだん音楽と拍が合ってくるのがわかります。この同じテンポで拍を打つということは、後にソルフェージュ力となって、どんな曲を弾く時でも、一定の拍で安定したテンポで弾ける力と繋がっていきます。

 今、お教室にいる最年少の生徒さんは、10か月です。お教室に慣れて、お母さんと歌に合わせてリズム運動を楽しみます。また、2歳の生徒さんは、始めた頃一歳半でした。もちろんピアノを弾くことはできませんが、3か月くらい経つと、お教室に入ると、自分の好きな楽器をすぐに手に取り、音楽に合わせて楽器を叩いたり、おおきな声で歌を歌うようになりました。マットをしいたリズム体操も大好きで、「もう一回、もう一回」と何度でもやりたがるのです。2歳近くの「いやいや期」でお母さんの手を焼くことも多いようですが、音楽の前ではとっても素直で楽しい時間を過ごしているようです。マット運動は、お母さんの手を借りるので、お母さんと一緒に音楽を共有する大切な時間ですね。

 

 

教材は?

絵本の言葉にリズムをつけます
絵本の言葉にリズムをつけます

 

 

 また、絵本を使ったリズム遊びをします。音楽にとってリズムとは言葉の役割とおなじです。私は作曲を勉強し、オペラ創作をしたので、言葉とリズムの関係性をとても重視しています。言葉そのものでも、すぐにリズムになるし、声のニュアンスによって感情表現もできます。ピアノを弾く上でそのまま音楽表現となります。このような表現力を育てるための、絵本の言葉をリズムに置き換えたテキストは私のオリジナルのアイデアです。幼児のためのテキストは少ないので、動物の鳴き声の曲なども作曲して聴かせます。小さなお子さんは大喜び!

また、色をぬったり絵描き歌など、知育を取り混ぜた幼児教育は、遊びながら自然と音楽の基礎を身につけさせることを目標としています。

 

「いつからピアノを習わせればいいの?」という問いに関しては、骨組みができる4歳くらいという意見が一番多いのではないでしょうか。実際ピアノの鍵盤は重くて、とても幼児には弾けません。しかし、私はもっと小さなお子さんでも、お教室に通うことは大いに賛成します。リトミックや音楽のある環境を楽しむことは、幼児には最適だと思います。

 なぜなら、喜びや悲しみ、驚きの表情をつくると、赤ちゃんも同じ表情をまねることが知られています。このような無意識の模倣を、「共鳴動作」と呼んでいます。大人の感情表現をまねして繰り返すうちに、赤ちゃんは自分の感情状態を自覚していきます。そうすると、リトミックはまさに幼児の情操教育、豊かな感情表現を身につけるのを手助けします。音楽を使った表現力を、無意識のうちに習得できるのが幼児期といえるでしょう。

 実際ピアノを弾くための準備段階として、できることはたくさんあります。リトミックのリズム遊びや、お歌などのレッスンで下地を作っておけば、「よい耳」「よい手」「歌心」「読譜力」をじっくり育てられます。いつの間にかピアノのレッスンに繋がっていき、非常にレッスンはスムーズで、お子さんにとっても負担が少ないものになるでしょう。また、私は1対1の個人レッスンの方が、お子さんに与えられる影響がより大きくなると考えているので、グループのレッスンはしていません。教え育てるということは、自分のエネルギーを、愛情を持って、惜しみなく生徒さんに注ぐことだと思っています。